(写真は昨日展示した、私のイーネオヤのサンプラーです)
オヤについて、基礎知識を少し記してみようかなと思います。
ひとまず最初はちょっと固めに?定義や歴史・語源などを…。
・オヤとは何か?-------------------------------------------
オヤ oya とは、トルコ語で「縁飾り」を意味します。
トルコの伝統的な手工芸のひとつで、手編みのレースを指します。
イスラムの女性たちは宗教上、髪の毛をスカーフで覆い隠します。
そのスカーフの縁をかがり、女性たちが思い思いに装飾をほどこしたものをオヤと呼びます。
非常に細い糸で、色とりどりのモチーフ(お花が多いです)をいくつも作ってスカーフにつけていく、とても手間と時間のかかる技術です。
(通常私たちがイメージする、連続する長く白い糸で延々と編むいわゆる「レース編み」は、トルコではダンテル dantel と呼ばれ区別されています)
・オヤの歴史-------------------------------------------------
いつごろから始まったかはっきりとは不明ですが、紀元前2000年前には魚の網が存在していたことから(注1)、テクニックとしてはそのあたりが最古と思われます。
(※ Knot=結び目の技法は魚や動物を捕る網から発展しました)
歴史的な記述としては、1512年、オスマントルコ朝の皇帝への贈り物としてオヤがあったという記録があるそうです。(注2)(ここでのオヤとは、縫い針で編むイーネオヤを指します)
もとは、切りっぱなしの布をかがることから始まり、衣服の袖口や襟元などをかがったり、そこに装飾をほどこすことで発展していったと推測されます。(注3)
(起源については、ヨーロッパのレースでもほぼ同じ説があるようです。注4)
中央アナトリア地方で発生し、現在のトルコだけでなくその周辺の国々でもイーネオヤと同じ技法を使ったレースがあります(アルメニアンレースや、ギリシャのビビラbibillaなど)
・オヤの語源-------------------------------------------------
「oya」は、現在のトルコ語では、腰の細い女性という意味や、繊細なという意味があります。
「oya gibi =オヤのような」という形容はすなわち、オヤのように繊細で可憐な、という意味となります。
また「oyalamak」(オヤをする)という動詞には、暇つぶしをする、長時間待つ、という意味もあります
(オヤがどれほど緻密で手間のかかる手芸であるかを指し示すか、ここからもうかがえます)
----引用元文献・URL---------------------------------------------
注1:Taciser Onuk『Osmanlı'dan Günümüze Oyalar』2005年、P5より
注2:『ビーズの縁飾り Vol.2』グラフィック社、2010年、P54より 石本寛治氏記述
注3:
野中幾美 2013年 岡山講演会
注4:ルシアンレースミュージアム「
レースについて-レースの歴史」
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以上、私の知る範囲での記述でございました。
できるだけ主観を排して書いてみたら辞書のようになりましたが、こういうのも必要かな?ということでご容赦くださいませ。
もうちょっと親しみやすい、オヤの種類などについての説明はまた後日…。
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