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* トルコの伝統レース「オヤ」との日々 *
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贋作?再現・イズニックの大きなモチーフ。

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(この記事は予約投稿分です)

レプリカというか贋作というか。

イズニック地方の古い大きなモチーフを再現してみました。

 

そもそもの発端は、前の記事の友人宅で藍で青く染めた未精練のシルク糸。

未精練なのでそのまま使って編むには縮れているしパリパリとしていて難しい。でもこれを石鹸で煮て精練すると色が落ちるかも…というか実際落ちたのでさてどうしようかと思っていた時。

とある方法でやると案外編みやすいと気づき、ふと、この糸でならイズニック地方のモチーフを作れるのでは?と思いつきました。

 

そして、4本で撚り合わせて基本の三角を試しに編んでみたら…おお、確かにあの感触。

固くてゴワゴワしてて触るとささって痛いくらいの「あの感じ」に近くなるではないですか。

 

…実は私、この時までイズニック地方のモチーフは固い糸を使っているとはいえ(セリシン(タンパク質成分)が残っているとはいえ)少しくらいは精練してあるのでは?と思い込んでいました。

ですので、どれくらいの時間精練したら固さに違いが出るのだろうか…と実験もしてたのですが…違いました。全く精練されてない糸でないと元モチーフほど固くならないのですね。

なんだ、精練は要らなかったのでは?と。これに気づいたら居ても立っても居られなくなり…

IMG_4516.JPG

取り出したるは、アンタルヤの手芸屋さんで購入した粉末の人工染料。

イズニックのモチーフはかなりハッキリした青や赤、ピンクや黄色で作られていることが多いのですが、これは草木染では出ない色です。

昔はシルク糸を人工染料で染めていたと推測されます(今現在は人工シルクを使っています)。

この粉末の人工染料はナルハンの手芸屋さんの片隅にも置かれていたもので、トルコではポピュラーなものの模様…。どれくらい昔からあるかは不明ですが、とりあえず手元にあったトルコ製の人工染料だし、と使ってみることに。

IMG_4517.JPG

パッケージ裏に記載されているトルコ語の説明文をゆっくり読みながら…ほんの少しずつのシルク糸を入れて染色実験。

粉末だからでしょうか、溶かした時の広がり方などかなり「食紅」と似た印象です。

店頭には10色以上は置いてあったと思うのですが、私が買ったのは青・赤・黄色・緑・ピンクの5色。とりあえず色の三原色とプラスα、特にピンクは三原色では出ない感じの蛍光ぽいピンクですのでこれだけは…と。

そして、イズニック地方でよく使われてる感じのスカイブルー、薄目の黄色、ピンク、そして茶色がかった緑などを様子を見ながら調合。

IMG_4522.JPG

そして染め上がったのがこちら。イズニック地方に特徴的なハッキリした色になりました(「なりました」と書くと何か違いますね…「しました」という感覚です)。

人工染料は草木染と同じく染液の濃度や浸す時間で濃淡を調整できますが、流石というか、はるかに簡単に予想通りの色へ染まってちょっと拍子抜けなくらいでした。

こんなに簡単ならそりゃあ絨緞織りのおばちゃんたちだって手間のかかる草木染をしなくなる訳だわ…と身をもって実感。

 

そして、4本撚り合わせて手持ちの古いスカーフのモチーフを再現してみたのが、一番上の写真です(実際はこれの前にもう一つ試し編みをしています)

黄色部分は写真の黄色の糸だと色が薄いので、その後別途黄色の染料にピンクを足して少しオレンジぽくしてみたりと細かく調節しつつ、元モチーフに近づけました。

なかなか…あの、自画自賛ですみません、かなりのレベルまで再現出来た気がするのですがいかがでしょうか。この作業、とっても楽しかったです。

 

ただ、実際触ってみると本物の方がもっと固くてゴワゴワとしています。

とある処理を糸にほどこして編みやすくしたのですが、案外何もせずにそのまま使った方がいいのかな?とか片撚りの方が良いのかも?などなど…他にもいくつか感触を残すために工夫すべきところが見つかったので、さらに再現度を上げるべく実験を重ねようか思っているところです。

 

 

それにしても…こうやって再現をして思うのは「材料は本当に大事」ということ。

特にイズニックのこのタイプのモチーフは、未精練のシルク糸で太く大きく編まないと元の雰囲気が出ませんし、逆に言えばこの糸を使えばこの地方独特のある意味稚拙にも見えるような大きな手加減のモチーフにいとも簡単に近づくんだ!と、実際編んでみて納得しました。

もちろん、ある程度は手加減も含めて似せてみてはいるのですが…さほど努力せずとも似てしまうのは素材の力としか言えません。

 

これを現行のポリエステル糸などで編んだら全く違う印象のものになってしまいますし(雰囲気は残りますが)、さらに例えば、シルク糸でも細くて精練された柔らかめの糸+細かな手加減で編むと、イズニックではなくブルサのモチーフにより近い雰囲気を持ってしまうことでしょう。

編み図だけを見るならイズニックとブルサのモチーフは似通った部分がありますが(ご近所ですから当たり前といえば当たり前ですが…)、この両者を決定的に分けるのは素材です。

(※イズニックのものでも細めの糸で編んだものもあって、それはブルサのものと判別がつきにくかったりします)

 

これらのことは再現する前からも知識として頭では分かっていましたが、実際に手を動かしてみないと深い部分・身体感覚的な部分では納得できていなかったのだなぁ…と反省。

そして同じ素材(もしくは近い素材)で編むことで、その地方の女性たちの感覚や思いに近づけるような…そんな錯覚が起こるほどこの再現実験は興味深くワクワクするものでした。

 

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